1975年 マダム・ボワイヨ・ジョルジェ ヴォルネイ・サントノ 赤ワイン















1975年のブルゴーニュは、生育期に断続的な雨と湿気に見舞われ、ベト病やうどんこ病、収穫期の灰色カビ病に手を焼いた、決して恵まれた年とは言えない作柄である。同年のボルドーが歴史的当たり年として記憶される一方、ブルゴーニュにおいては1972年・1977年と並ぶ70年代の難しい年のひとつに数えられることが多い。ワインは概して軽めで、長期熟成型としての骨格が弱い個体も少なくないとされる。しかし畑の手入れと選果に厳格であった造り手は、淡くも繊細でブルゴーニュらしい優美さを湛えるワインを生み、半世紀を経た現在は、状態の良い個体が穏やかで複雑な熟成香を見せる段階に入っている。気難しい年であったからこそ、生き残ったボトル一本一本が古酒として独自の価値を帯びるヴィンテージである。
ヴォルネイ・サントノとマダム・ボワイヨ=ジョルジェ
ヴォルネイ(Volnay)はブルゴーニュ地方コート・ド・ボーヌ地区南部に位置する村で、北はポマール、南はムルソーに挟まれた斜面に広がる。村の南端でムルソーと接する境界線上に「サントノ(Santenots)」と呼ばれるリュー・ディがあり、これがブルゴーニュ屈指の興味深いAOC事例として知られる存在である。
サントノは地理的にはムルソー村の領域に属するが、AOC法上は植えられた品種によって名乗りが変わるという特異な仕組みになっている。ピノ・ノワール(赤)が植えられている場合は「ヴォルネイ・プルミエ・クリュ・サントノ(Volnay 1er Cru Santenots)」または「ヴォルネイ・サントノ」と表示することが認められ、シャルドネ(白)の場合は「ムルソー・プルミエ・クリュ」を名乗る。畑はサントノ・デュ・ミリュー、サントノ・ドゥスュ、サントノ・ドゥス等の小区画に細分される。歴史的には19世紀末のアペラシオン整備の過程で確立された慣習で、現在も例外的に維持されている。
ヴォルネイ村は古くから「コート・ド・ボーヌの女王」と称えられ、ポマールの男性的な力強さと対をなす繊細で香り高い赤の産地として位置付けられてきた。同村の代表的造り手にはマルキ・ダンジェルヴィーユ、ミシェル・ラファルジュ、ドメーヌ・ド・モンティーユ、ニコラ・ロシニョール、ボワイヨ家各家、ジャン=マルク・ブイヨ等が名を連ね、サントノ区画に関しては隣接するムルソー側のコント・ラフォン、フランソワ・ミクルスキ、ドメーヌ・マトロ等も自社銘柄として瓶詰めしている。
マダム・ボワイヨ=ジョルジェ(Madame Boillot-Georget)は、ブルゴーニュ屈指の名門ワイン一族ボワイヨ(Boillot)家に連なる造り手であるとされる。ボワイヨ家はムルソーおよびヴォルネイを本拠とし、数世代にわたって複数の分家・婚姻による複合姓のドメーヌに分かれてきた一族で、現在のドメーヌ・アンリ・ボワイヨ、ドメーヌ・ジャン・ボワイヨ、ドメーヌ・ジャン=マルク・ブイヨ等もこの系譜に連なる。本ボトルが帯びる「Boillot-Georget」の姓は20世紀中盤に時折ラベルに登場する形態で、ジョルジェ家との婚姻によって生まれた家系名と考えられる。当時のブルゴーニュにおいては小規模な家族ドメーヌが当主の名や夫人名(~婦人=Madame)でラベルを起こす習慣が一般的で、本ボトルもそうした古典的な瓶詰め文化を伝える一本である。
サントノのテロワールは石灰岩に粘土が混じる構成で、表土の粘土が比較的厚く、根は深く伸びる。植えられているのは100%ピノ・ノワールで、ヴォルネイ村の他の区画と比べるとやや量感のある、果実とタンニンの厚みを伴うスタイルが生まれる傾向にあるとされる。1975年当時の醸造は野生酵母発酵、コンクリート槽や古樽でのアルコール発酵、フィルター無しの瓶詰めという古典的手法が主流で、収穫年の天候と造り手の手当てがほぼ全てを決めた時代である。
味わい
グラスに注ぐと、淡いガーネットから縁にかけてレンガ色やトウニーへと移ろう、半世紀を経たブルゴーニュ古酒に特有の透明感ある色調が現れる。立ち上る香りはドライフラワー、なめし革、紅茶、湿った下草、黒トリュフ、シナモン、サンダルウッドといった三次香が幾層にも静かに重なり、その奥にうっすらとドライフルーツや甘草のニュアンスを残す。口に含むとタンニンは絹のように溶け、酸が静かな背骨として味わいを支える。果実は表に立つことなく、土・キノコ・古い木箱を思わせる熟成香と一体となって余韻を曳いていく。1975年という難しい年を50年余りの時間が静かに馴らし、ヴォルネイ・サントノらしいコート・ド・ボーヌの優美さと、サントノ特有のやや量感のある骨格が穏やかな調和を見せる。最後に乾いた薔薇のミネラル感を残して消えていく、選ばれた個体だけが到達できるブルゴーニュ古酒の表情である。
1975年という時代
1975年はベトナム戦争が終結し、4月30日にサイゴンが陥落、長きにわたるインドシナ半島の戦火に区切りがついた年である。アメリカではビル・ゲイツとポール・アレンがマイクロソフトを創業し、7月にはアポロ・ソユーズ計画で米ソの宇宙船がドッキングして冷戦下の和解を象徴した。映画界ではスティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』が大ヒットし、クイーンが『ボヘミアン・ラプソディ』を発表してロック史に残る年となった。日本では沖縄国際海洋博覧会(沖縄海洋博)が開幕し、3月10日には山陽新幹線が岡山・博多間を開業して新幹線が西日本を結んだ。元号は昭和50年、戦後30年の節目にあたるこの年に収穫されたブドウが、半世紀の時を経てもなお一本の瓶の中で時間を生き続けている。
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