1966年 ジョルダーノ バローロ 赤ワイン

Barolo Giordano
1966年 バローロ ジョルダーノ|ピエモンテ DOC制定元年のネッビオーロ古酒
1966年ヴィンテージ
1966年のピエモンテ州は、戦後伝説の1961年や1964年ほどの偉大さではないものの、安定した夏と適度な秋雨に恵まれた誠実な作柄として記録されている。ネッビオーロは10月後半から11月にかけてゆっくりと完熟し、酸とタンニンの骨格を備えたクラシカルなバローロが生まれた。とりわけ重要なのは、この1966年こそがイタリアの最高格付け制度の前身であるDOC(原産地呼称統制)がバローロに付与された記念すべき年であるという点で、本ヴィンテージはバローロDOC制定元年の作品として歴史的意義を持つ。六十年近い熟成を経た現在も、ネッビオーロの長期熟成能力を物語る穏やかな枯れた表情で静かに語りかける。

ジョルダーノとバローロ
ジョルダーノ(Giordano、正式名称ジョルダーノ・ヴィーニ Giordano Vini)は、イタリア・ピエモンテ州ヴァッレ・ベルボ(Valle Belbo)地区を発祥とする1900年創業の老舗ワインハウスである。現在の本拠地は同州ディアーノ・ダルバ(Diano d'Alba)で、創業者ジュゼッペ・ジョルダーノ(Giuseppe Giordano)が始めた家族経営から発展し、20世紀半ばまでにイタリア最大級のメールオーダー型ワインハウスへと成長した。本ヴィンテージ1966年当時は2代目世代がバローロ、バルバレスコ、バルベラ、ドルチェットといったピエモンテ伝統銘柄の通信販売網をイタリア全土に広げていた時期にあたる。自家畑のほかバローロ生産地区の契約農家から葡萄や樽売りワインを買い付け、自社蔵で熟成・瓶詰めするネゴシアン型のスタイルを基本とする。1980年代以降は事業拡大とともに大手ジョルダーノ・グループの一翼を担い、現在も家族色を残しながら国際市場に展開している。

バローロ(Barolo)は、ピエモンテ州クネオ県、アルバの南に広がるランゲ地方の丘陵地に位置するイタリア最高峰の赤ワイン産地である。「ワインの王にして王のワイン(il re dei vini, il vino dei re)」と讃えられ、サヴォイア王家からも愛飲されてきた由緒を持つ。アペラシオンは現在DOCG(保証付き原産地呼称、1980年制定)に格上げされているが、本ヴィンテージ1966年はまさにDOC制定の年であり、本品はバローロDOCの最初期世代の作品にあたる。生産地区はバローロ(Barolo)、カスティリオーネ・ファッレット(Castiglione Falletto)、モンフォルテ・ダルバ(Monforte d'Alba)、セッラルンガ・ダルバ(Serralunga d'Alba)、ラ・モッラ(La Morra)の5主要村と、ノヴェッロ、ヴェルドゥーノなどの周辺村を合わせた11コムーネで構成される。同地区の伝統派を代表する造り手には、バルトロ・マスカレッロ(Bartolo Mascarello)、ジャコモ・コンテルノ(Giacomo Conterno)、ジュゼッペ・マスカレッロ(Giuseppe Mascarello)、ブルーノ・ジャコーザ(Bruno Giacosa)、ピオ・チェーザレ(Pio Cesare)、ボルゴーニョ(Borgogno)、フォンタナフレッダ(Fontanafredda)、エリオ・アルターレ(Elio Altare)、ヴィエッティ(Vietti)などが知られる。

バローロの畑面積はおおむね2,200ヘクタールに及び、標高200~500メートルのランゲの起伏に富んだ丘陵地に広がる。土壌はおおよそ二系統に区分される。ラ・モッラ・バローロ寄りのトルトニアン階の青灰色マール(より粘土質)は、芳香と優美さに優れたバローロを生み、セッラルンガ・モンフォルテ寄りのヘルヴェティアン階の砂質マール(より硬質)は、長期熟成と骨格を備えた厳格なバローロを生むとされる。品種はネッビオーロ(Nebbiolo)100%。「霧(nebbia)」を語源とするこの晩熟品種は、収穫期にランゲの丘を覆う秋霧の中で完熟し、独特の薔薇と杉、タール、サワーチェリーの香りを獲得する。

バローロの伝統的造りは、長期マセラシオン(果皮浸漬を3~4週間、時に1ヶ月以上)とスロヴォニア産オークの大樽(ボッテ)による長期熟成を組み合わせる古典手法を基本とする。本ヴィンテージが造られた1966年は、まさに伝統派の手法が当然であった時代であり、近代派が小樽(バリック)と短期マセラシオンを導入する1980年代の革新以前の純粋な古典バローロの姿を伝える。DOC規定では当時、最低3年(うち2年は木樽)の熟成が義務付けられ、リゼルヴァは5年(うち4年は木樽)が必要であった。ジョルダーノのバローロは、ネゴシアン型のスタイルでありながらバローロDOCの規定に沿った造りを忠実に守り、本ヴィンテージは1966年のDOC制定という歴史的瞬間と、伝統派バローロの古典スタイルの両方を瓶に閉じ込めた一本である。

味わいの特徴
ネッビオーロ100%。59年の熟成を経た現在、若い頃の薔薇、スミレ、サワーチェリー、ラズベリーといった華やかなアロマは深い三次アロマへと姿を変え、なめし革、タール、トリュフ、ドライポルチーニ、紅茶、湿った腐葉土、シナモン、ドライフラワー、甘草を思わせる複雑な香りが層をなして立ち上る。色調はネッビオーロ特有の煉瓦色を帯び、エッジには琥珀の縁取りが見える。タンニンは完全に丸みを帯び、絹のような滑らかな舌触りで口中を包み込む。ネッビオーロ本来の高い酸が背骨を通し、六十年近い時を経てなお生命力を失わない。余韻は穏やかでありながら長く伸び、ランゲの霧と王のワインの記憶が静かにグラスから立ち上ってくる。

1966年という時代
1966年、日本ではビートルズが来日し日本武道館で公演、戦後の若者文化を一変させる衝撃が走った。全日空羽田沖墜落事故、英国機富士山墜落事故と航空史に残る悲劇が続いた一方、日産サニーとトヨタ・カローラが相次いで発売されモータリゼーションが本格化、人口1億人を突破した年でもある。海の向こうではサッカーW杯イングランド大会で開催国が初優勝、中国では文化大革命が始まり世界の地政学が大きく揺れた。六十年近い熟成を経たこの一本は、その年に生まれた方への還暦祝いの誕生年ワインとして、また人生の節目に開けるバローロDOC制定元年の歴史的古酒として、グラスの中に時代の空気ごと届けてくれる。
1966年 イタリア ピエモンテ地方 バローロ地区 イタリア
商品コード:6080230
¥84,700(税込)
¥77,000(税抜)
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