1991年 シャトー・ムートン・ロートシルト 赤ワイン

Chateau Mouton Rothschild
1991年 シャトー・ムートン・ロートシルト|1855年メドック格付け第1級ポイヤック・ラベルは節子
1991年ヴィンテージ
1991年のボルドーは、4月20日から21日にかけての夜の霜で始まりました。地域によっては氷点下7~8℃まで冷え込み、芽吹いたばかりの新芽の多くが失われ、ボルドー全体の収穫量は平年を大きく下回りました。シャトーの記録によれば、ムートンの畑はその立地のおかげで霜の被害を免れたといいます。その後の夏は暑く晴れて推移し、ブドウは順調に熟しました。9月末からは雨も降りましたが、霜を越えた房を丁寧に選り分けることで、この難しい年にも一級らしいワインが仕上げられています。

シャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton Rothschild)は、ボルドー地方メドック地区のポイヤック村の北部にあり、シャトー・ラフィット・ロートシルトと畑を接しています。1855年のメドック格付けでは第2級の筆頭に置かれましたが、その後の努力が実を結び、1973年に第1級へ昇格しました。1855年以来、格付けの順位が改められたのはこの一例だけです。昇格の際に掲げた「我、第1級なり。かつて第2級なりき。ムートンは変わらず」という言葉は、今もシャトーの誇りとして語り継がれています。

ポイヤックはジロンド河が運んだ砂利が厚く積もった丘の連なりで、カベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地として知られます。村にはラフィット、ラトゥールの2つの第1級のほか、シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド、シャトー・ポンテ・カネ、シャトー・ランシュ・バージュといった格付けシャトーが並びます。ムートンの隣にはロスチャイルド家が所有する第5級のシャトー・ダルマイヤックとシャトー・クレール・ミロンもあります。

1853年、英国ロスチャイルド家のナサニエル・ド・ロチルド男爵が「ブラーヌ・ムートン」と呼ばれていたこのシャトーを買い取り、自らの名を冠しました。1922年、わずか20歳でシャトーを任されたフィリップ・ド・ロチルド男爵は、1924年に全量をシャトーで瓶詰めする方式をボルドーで初めて採り入れ、品質を自ら保証する道を開きました。1945年には戦勝を祝うラベルを作り、以後毎年、著名な芸術家にラベルの絵を依頼する伝統が始まります。シャガール、ミロ、ピカソ、ウォーホルらがこれに続きました。フィリップ男爵が1988年1月に亡くなると、娘のフィリピーヌ・ド・ロチルド男爵夫人が後を継ぎ、1991年の収穫も彼女のもとで行われています。2014年に男爵夫人が亡くなった後は、3人の子どもたち、カミーユ、フィリップ、ジュリアンが経営を担っています。

1991年のラベルを手がけたのは、日本生まれの画家、節子・クロソフスカ・ド・ローラです。画家バルテュスの妻としてヨーロッパで暮らしながら制作を続け、身近な花や果物を静物画へと組み直す、繊細な線と色彩で知られています。ムートンのラベルに描かれたのは、花から果実へ、そしてワインを飲む喜びへと続く物語とされ、日本人の作品がこのラベルに選ばれた例として、日本の愛好家にとって特別な一本となっています。

畑はおおむね80ヘクタール台の広さで、砂利の丘の上に広がります。植えられている品種はカベルネ・ソーヴィニヨンが約8割と高く、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドがこれを補います。熟成は新樽で行われ、1926年に建てられた長さ100メートルの大樽貯蔵庫は、訪れる人を圧倒する光景として知られています。セカンドワイン「ル・プティ・ムートン」は1993年に始まったため、1991年はまだその前の時代にあたります。

味わいの特徴
品種構成はカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを合わせたものです。若い頃は熟したカシスやブラックチェリーに、ムートンらしい華やかなスパイスやコーヒー、トーストした樽の香りが重なっていたと考えられます。35年の熟成を経た今は、果実の香りが干しプラムやドライフィグへと移り、そこにシガーボックス、杉、なめし革、トリュフ、紅茶葉、腐葉土といった熟成香が重なっていることが期待されます。タンニンは丸く溶け込み、厚みのある果実の名残と土の香りが、長く穏やかな余韻となって続くことが期待されます。古酒ですので、飲む前日にはボトルを立てて澱を沈め、16~17℃前後でゆっくりと開いていく香りを楽しむのがよいでしょう。

1991年という時代
1991年1月に湾岸戦争が始まり、12月にはソビエト連邦が解体して、冷戦の時代が幕を閉じました。日本ではバブル景気の崩壊がはっきりと見え始め、6月には雲仙・普賢岳で大規模な火砕流が起きています。この春には新宿に東京都庁の新庁舎が完成し、街の風景も新しい時代へ移ろうとしていました。この年に生まれた方にとって、2026年は35歳を迎える節目にあたります。春の霜を越えて残った房から生まれた一本は、その年の天候を今も瓶の中に静かにとどめています。
1991年 ボルドー地方 オーメドック地区 ポーイヤック村 フランス
商品コード:7900582
¥220,000(税込)
¥200,000(税抜)
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