1979年 シャトー・パルメ 赤ワイン

Chateau Palmer
1979年 シャトー・パルメ|メドック格付け第3級 マルゴー
1979年ヴィンテージ
1979年のボルドーは、当初は地味と評されながら長い熟成によって真価を発揮した「眠れる」当たり年として再評価されている。春は冷涼に始まり、夏は穏やかな天候が続いて葡萄はゆっくりと熟度を高めた。10月の収穫期は天候に恵まれ、収量は豊富、酸とタンニンの骨格を備えたクラシカルな赤が生まれた。派手な凝縮感ではなくバランスの妙で魅せる年で、特にカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とする左岸メドックでは、長い時を経て繊細な気品を獲得したワインが多い。

シャトー・パルメ
シャトー・パルメ(Chateau Palmer)は、ボルドー地方オー・メドック地区マルゴー村のうちカントナック(Cantenac)地区に位置する名門である。1855年メドック格付けでは第3級(Troisiemes Crus)に列せられているが、その品質は格付け第2級どころか第1級に迫ると評され、現代のメドックにおいて「スーパー・サード」の代名詞とも言える存在となっている。畑はマルゴー村の中心にあるシャトー・マルゴー(Chateau Margaux)からほど近い砂利の高台に広がり、隣接または近接するシャトーにはシャトー・マルゴー(第1級)、シャトー・ローザン・セグラ(Rauzan-Segla、第2級)、シャトー・ブラーヌ・カントナック(Brane-Cantenac、第2級)、シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン(Durfort-Vivens、第2級)、シャトー・ディッサン(d'Issan、第3級)、シャトー・カントナック・ブラウン(Cantenac-Brown、第3級)、シャトー・キルヴァン(Kirwan、第3級)、シャトー・ジスクール(Giscours、第3級)、シャトー・マレスコ・サン・テグジュペリ(Malescot Saint-Exupery、第3級)など、マルゴー村を代表する格付けシャトーが軒を連ねる。

マルゴー村は、オー・メドック南端に位置するボルドー左岸の名村で、メドックの中でも最もエレガントで香り高い赤を生むことで知られる。土壌は薄く広がる砂利層の下に粘土・石灰岩が層をなす構成で、深く根を伸ばす葡萄が繊細な香りと細やかなタンニンを獲得する。マルゴーACは1954年にAC(村名格付け)として制定され、アルザン、カントナック、ラバルド、スーザン、マルゴーの5つのコミューンを含む比較的広いアペラシオンである。

シャトー・パルメの名は、ワーテルローの戦いの英雄として知られる英国陸軍少将チャールズ・パーマー(Major-General Charles Palmer)に由来する。彼は1814年に当地の畑を取得し、自らの名を冠したワインを英国王室や貴族社会に広めたが、晩年に経営難に陥り、1853年にパリの金融界を率いるペレール兄弟(Emile and Isaac Pereire)へと売却された。20世紀に入って大恐慌の影響もあり、1938年に4社の有力ネゴシアン、メーラー・ベス(Mahler-Besse、オランダ系)、シシェル(Sichel、英独系)、ジネステ(Ginestet、フランス系)、ミアイユ(Miailhe)の共同体に買収され、これがフランス・オランダ・英国の三国旗(トリコロール)を掲げる現在のシャトー・パルメの姿となった。本ヴィンテージ1979年当時は、メーラー・ベス家とシシェル家を中心とする共同経営体制下で運営されており、伝説的なネゴシアンであるピーター・シシェル(Peter Sichel)が世界市場での評価を高めていた時期にあたる。2004年以降は若き総支配人トマ・デュルー(Thomas Duroux)が運営を担い、ビオディナミ農法への移行など先進的な取り組みで知られている。

畑はおおむね66ヘクタールで、マルゴー・カントナックの砂利の高台に広がる。土壌はガロンヌ川由来の深い砂利層を表層に持ち、その下に粘土と石灰岩の層構造が控える、メドックの典型的なテロワールである。排水性が高く、葡萄樹を水を求めて深く根を張らせ、ミネラル豊かなワインを生む。品種構成はマルゴーでは異例にメルローの比率が高く、おおむねカベルネ・ソーヴィニヨン47%、メルロー47%、プティ・ヴェルド6%という構成(本ヴィンテージ当時もほぼ同様と推定される)。このメルローの存在感がパルメに、マルゴーの優雅さに加えてポムロールを思わせる豊かな果実味を与え、独自の個性を形作っている。

醸造は伝統的な手法を基調とし、約3週間の発酵・果皮浸漬の後、樽熟成は18~20ヶ月、新樽比率はおおむね50~60%程度で運用されてきた。シシェル時代のパルメは、シャトー・マルゴー以外の格付け第2~3級の中で最も高い名声を獲得し、英国市場を中心に「マルゴーの隠れた頂点」として親しまれた。セカンドワインは1998年以降「アルテル・エゴ(Alter Ego)」として独立した個性を持つに至ったが、本ヴィンテージ当時はグランヴァンへの集約とリザーヴ・デュ・ジェネラルへの選別が運用されていた。本ヴィンテージ1979年は、ピーター・シシェルがパルメの世界的名声を築いた黄金期に造られた一本である。

味わいの特徴
カベルネ・ソーヴィニヨン約47%、メルロー約47%、プティ・ヴェルド約6%。46年の熟成を経た現在、若い頃のカシスやプラムの果実味は深い三次アロマへと変容し、スミレ、シダー、なめし革、トリュフ、紅茶、湿った下草、タバコの葉、ドライフラワーが層をなして立ち上る。色調は深い煉瓦色を帯び、グラスのエッジには琥珀の縁取りが見える。タンニンは完全に丸みを帯び、絹のように滑らかな舌触りで口中に広がる。マルゴー村特有の香り高さに、パルメならではのメルロー由来の果実の厚みが重なり、長く伸びる余韻には半世紀近い歳月が静かに溶け出していく。

1979年という時代
1979年、日本では大平正芳首相のもと第2次オイルショックが世界経済を揺さぶり、東京サミットが先進国の結束を世界に示した。海の向こうではイラン革命と米国大使館人質事件、ソ連のアフガニスタン侵攻が東西冷戦の緊張を一気に高め、英国ではマーガレット・サッチャーが初の女性首相に就任した。ソニーが初代ウォークマンを発売し、音楽を持ち歩く文化が世界に広がったのもこの年である。46年の熟成を経たこの一本は、その年に生まれた方への誕生年ワインとして、また人生の節目に開けるマルゴーのスーパー・サードとして、グラスの中に時代の空気ごと届けてくれる。
1979年 ボルドー地方 オーメドック地区 マルゴー村 フランス
商品コード:7900538
¥132,000(税込)
¥120,000(税抜)
在庫: 2本
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