1958年 シャトー・ラフィット・ロートシルト 赤ワイン

Château Lafite Rothschild
1958年 シャトー・ラフィット・ロートシルト|ポイヤック第1級格付け
1958年ヴィンテージ
1958年のボルドーは、生育期の天候が定まらない年でした。2月には気温が22℃まで上がる暖かさを見せたものの、3月11日にはメドックに29cmの雪が積もり、4月から5月にかけては嵐が続きました。1956年の大霜害のあとに植え替えた若い樹が多く、もともと収量はごく少なかったうえ、収穫も遅れました。10月6日の時点で、各シャトーは熟した果実を少しずつ選んで摘み取っていたと記録されています。こうして生まれたワインは、全体に軽やかで優雅な少量のワインだったとされます。ラフィットの持ち味は、力よりも香りの気品と線の細さにあります。

シャトー・ラフィット・ロートシルト
シャトー・ラフィット・ロートシルト(Ch?teau Lafite Rothschild)は、ボルドー左岸メドック地区の北寄りにあるポイヤック村に建つシャトーです。1855年のメドック格付けでは、第1級(Premier Grand Cru Class?)の筆頭に名を連ねました。同じ村には第1級のシャトー・ラトゥールとシャトー・ムートン・ロートシルトがあります。北の村境を越えればサン・テステフで、第2級のシャトー・コス・デストゥルネルが小さな流れを挟んですぐ隣に並んでいます。

ポイヤックはジロンド河に面したなだらかな丘の村です。表土には、河が運んだ厚い砂利層(グラーヴ)が広がります。水はけがよく、日中の熱を蓄えるこの土壌は、カベルネ・ソーヴィニヨンを完熟させるのに向いています。そのため、骨格が確かで長い熟成に耐えるワインの産地として知られてきました。前述の第1級2軒のほかにも、シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン、シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド、シャトー・ランシュ・バージュなどの名門がこの村に集まっています。

この地でのワイン造りの記録は1234年にまでさかのぼるとされます。17~18世紀にはセギュール家のもとで名声を高め、ヴェルサイユの宮廷でも好まれたと伝えられます。1868年、ジェームス・ド・ロスチャイルド男爵がこのシャトーを取得しました。以来ロスチャイルド家の所有が続き、1958年当時はエリー・ド・ロスチャイルド男爵が戦後の復興期の運営を担っていたとされます。のちにエリック・ド・ロスチャイルド男爵が経営を引き継ぎ、現在はその娘のサスキア・ド・ロスチャイルドが会長職を継いでいます。サスキアは一族の150年の歴史でラフィットを率いる初めての女性とされます。最近では、所有会社DBRが醸造責任者の体制を見直しました。エリック・コレール氏がラフィットとデュアール・ミロンの技術面を専任で担う体制になったと報じられています。両シャトーで進む有機栽培への移行に、技術陣が集中するための再編とされます。

敷地は178haで、そのうちブドウ畑は116haです。畑はシャトーを囲む丘、カリュアド台地、サン・テステフ側の4.5haという3つの区画に分かれています。砂利の下には石灰質や泥灰土が重なるとされ、河の近さがもたらす穏やかな微気候も、樹の健やかな成熟を支えています。品種構成は近年、カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ25%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド2%と紹介されています。セカンドワインはカリュアド・ド・ラフィットです。

醸造では、自社で樽を造ることで知られています。グラン・ヴァンは新樽の比率がほぼ100%に近いとされ、熟成期間は約18~20か月とされます。年間生産量は、グラン・ヴァンで約1万数千ケース前後と推定されます。1855年以来、メドックの格付けにおける主な変更は1973年のムートンの第1級昇格です。その中でラフィットは170年以上第1級の地位を保ち、ボルドーの格の基準であり続けています。

味わいの特徴
現在の品種構成はカベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ25%を中心に、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが少量加わるとされます。当時もカベルネ・ソーヴィニヨンが主体でした。若い頃はカシスやブラックチェリーの果実に、杉や鉛筆の削りかす、すみれの香りが重なっていたと考えられます。68年を経た今は、果実味はドライチェリーや干しプラムのような穏やかな表情に移っていることが期待されます。そこに、なめし革、枯葉、トリュフ、紅茶、シガーボックスといった熟成香が現れることが期待されます。軽やかな年のワインなので、タンニンは絹のように溶け込んでいると期待されます。酸が全体の輪郭を細く保ち、澄んだ香りの余韻が残ることが期待されます。抜栓の数日前からボトルを立てて澱を沈め、16~18℃前後で開けてください。デキャンタは注ぎ分けるために短く行う程度にとどめ、開けてすぐの変化を見守るのがよいでしょう。

1958年という時代
1958年、日本では東京タワーが完成し、一万円札が初めて発行されました。日清食品のチキンラーメンが生まれたのもこの年で、高度成長の足音が聞こえ始めた頃です。世界では欧州経済共同体(EEC)が発足し、フランスではド・ゴールのもとで第五共和政が始まりました。戦後の世界が新しい形を探していたこの年のワインは、同じ年に生まれた方にとって、自らの歳月と重なる一本かもしれません。68年の静かな時間をグラスに注ぐこと。それこそが古いワインの本質なのかもしれません。
1958年
商品コード:5000003
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