シャトー・ラフィット・ロートシルト 1958|68年目のラフィット

シャトー・ラフィット・ロートシルト 1958(750ml・赤)を1本ご紹介します。今年で68年目を迎える1本です。在庫は1本のみです。
まずはラベルから。館と木立、畑で働く二人の姿を細い線で描いた銅版画風の図柄の上に「MIS EN BOUTEILLES AU CHÂTEAU(シャトー元詰め)」の赤い文字、下に「CHÂTEAU LAFITE-ROTHSCHILD」と、赤い円形の印に囲まれた「1958」が並びます。68年の歳月を物語るように、ラベルの縁には破れがあり、小さな穴も見られます。現物のありのままの姿を、そのまま写しました。
首元には赤茶色のキャップシールが残っています。館の絵と「BOUTEILLES AU CHÂTEAU」の文字が入ったシールで、天面には年月の跡が刻まれています。
1958年のボルドーは収穫が遅く、10月6日になっても各シャトーが少量の熟した果実を摘んでいた、と記されています。1956年の厳しい霜害のあとに植え替えた樹が多く、収量はごく少なかったそうです。量の少ない年のラフィットが、いま手に取れる形で残っています。
1958年は、東京タワーが完成し、一万円札が初めて発行された年です。この年に生まれた方には、ご自身の歳月と重なる1本になります。
写真はラベルの斜め撮りと正面、キャップシール、首元から肩、ボトル全体の5枚です。写真から読み取れる範囲を超えた状態は、この記事では断定しません。気になる点は、お問い合わせいただければ現物を見ながらお答えします。
確認者は酒井、確認日は2026年10月3日です。
ヴィンテージと生産者のいま
1958年のボルドーは、2月に22℃まで上がる暖かさのあと、3月11日にメドックで29cmの積雪、4〜5月は嵐と、不安定な生育期だったと記されています。収穫は遅く、1956年の霜害後の改植もあって収量はごく少なかったそうです。軽めで優雅なワインが少量できた年とされますが、同じ資料は大半のワインがすでに衰えているとも書いています。
生産者側では、DBRグループが醸造責任者の体制を再編し、エリック・コレール氏がラフィットとデュアール・ミロン専任の技術責任者になったと報じられました。両シャトーは有機栽培への移行を続けており、技術担当が日々の管理に専念できるようにするのが狙いとされます。
シャトー・ラフィット・ロートシルト 1958 を知る専門店の解説 ・ 2,157字
1958年ヴィンテージ
1958年のボルドーは、生育期の天候が定まらない年でした。2月には気温が22℃まで上がる暖かさを見せたものの、3月11日にはメドックに29cmの雪が積もり、4月から5月にかけては嵐が続きました。1956年の大霜害のあとに植え替えた若い樹が多く、もともと収量はごく少なかったうえ、収穫も遅れました。10月6日の時点で、各シャトーは熟した果実を少しずつ選んで摘み取っていたと記録されています。こうして生まれたワインは、全体に軽やかで優雅な少量のワインだったとされます。ラフィットの持ち味は、力よりも香りの気品と線の細さにあります。
シャトー・ラフィット・ロートシルト
シャトー・ラフィット・ロートシルト(Château Lafite Rothschild)は、ボルドー左岸メドック地区の北寄りにあるポイヤック村に建つシャトーです。1855年のメドック格付けでは、第1級(Premier Grand Cru Classé)の筆頭に名を連ねました。同じ村には第1級のシャトー・ラトゥールとシャトー・ムートン・ロートシルトがあります。北の村境を越えればサン・テステフで、第2級のシャトー・コス・デストゥルネルが小さな流れを挟んですぐ隣に並んでいます。
ポイヤックはジロンド河に面したなだらかな丘の村です。表土には、河が運んだ厚い砂利層(グラーヴ)が広がります。水はけがよく、日中の熱を蓄えるこの土壌は、カベルネ・ソーヴィニヨンを完熟させるのに向いています。そのため、骨格が確かで長い熟成に耐えるワインの産地として知られてきました。前述の第1級2軒のほかにも、シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン、シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド、シャトー・ランシュ・バージュなどの名門がこの村に集まっています。
この地でのワイン造りの記録は1234年にまでさかのぼるとされます。17〜18世紀にはセギュール家のもとで名声を高め、ヴェルサイユの宮廷でも好まれたと伝えられます。1868年、ジェームス・ド・ロスチャイルド男爵がこのシャトーを取得しました。以来ロスチャイルド家の所有が続き、1958年当時はエリー・ド・ロスチャイルド男爵が戦後の復興期の運営を担っていたとされます。のちにエリック・ド・ロスチャイルド男爵が経営を引き継ぎ、現在はその娘のサスキア・ド・ロスチャイルドが会長職を継いでいます。サスキアは一族の150年の歴史でラフィットを率いる初めての女性とされます。最近では、所有会社DBRが醸造責任者の体制を見直しました。エリック・コレール氏がラフィットとデュアール・ミロンの技術面を専任で担う体制になったと報じられています。両シャトーで進む有機栽培への移行に、技術陣が集中するための再編とされます。
敷地は178haで、そのうちブドウ畑は116haです。畑はシャトーを囲む丘、カリュアド台地、サン・テステフ側の4.5haという3つの区画に分かれています。砂利の下には石灰質や泥灰土が重なるとされ、河の近さがもたらす穏やかな微気候も、樹の健やかな成熟を支えています。品種構成は近年、カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ25%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド2%と紹介されています。セカンドワインはカリュアド・ド・ラフィットです。
醸造では、自社で樽を造ることで知られています。グラン・ヴァンは新樽の比率がほぼ100%に近いとされ、熟成期間は約18〜20か月とされます。年間生産量は、グラン・ヴァンで約1万数千ケース前後と推定されます。1855年以来、メドックの格付けにおける主な変更は1973年のムートンの第1級昇格です。その中でラフィットは170年以上第1級の地位を保ち、ボルドーの格の基準であり続けています。
味わいの特徴
現在の品種構成はカベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ25%を中心に、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが少量加わるとされます。当時もカベルネ・ソーヴィニヨンが主体でした。若い頃はカシスやブラックチェリーの果実に、杉や鉛筆の削りかす、すみれの香りが重なっていたと考えられます。68年を経た今は、果実味はドライチェリーや干しプラムのような穏やかな表情に移っていることが期待されます。そこに、なめし革、枯葉、トリュフ、紅茶、シガーボックスといった熟成香が現れることが期待されます。軽やかな年のワインなので、タンニンは絹のように溶け込んでいると期待されます。酸が全体の輪郭を細く保ち、澄んだ香りの余韻が残ることが期待されます。抜栓の数日前からボトルを立てて澱を沈め、16〜18℃前後で開けてください。デキャンタは注ぎ分けるために短く行う程度にとどめ、開けてすぐの変化を見守るのがよいでしょう。
1958年という時代
1958年、日本では東京タワーが完成し、一万円札が初めて発行されました。日清食品のチキンラーメンが生まれたのもこの年で、高度成長の足音が聞こえ始めた頃です。世界では欧州経済共同体(EEC)が発足し、フランスではド・ゴールのもとで第五共和政が始まりました。戦後の世界が新しい形を探していたこの年のワインは、同じ年に生まれた方にとって、自らの歳月と重なる一本かもしれません。68年の静かな時間をグラスに注ぐこと。それこそが古いワインの本質なのかもしれません。
状態の記録を全部見る(確認者・確認日つき)
| 銘柄/ヴィンテージ | シャトー・ラフィット・ロートシルト 1958(Château Lafite Rothschild) |
|---|---|
| 商品コード | 5000003 |
| 容量 | 750ML |
| 確認者/確認日 | 酒井/2026-10-03 |









