2014年のヴィンテージ作柄・出来・評価
フランス
2014年のフランスは、大部分の主要産地で変動の大きい気候パターンが見られました。春から夏にかけては涼しく湿度の高い期間が続きましたが、多くの地域で9月以降に天候が劇的に回復し、乾燥した暖かい日が続いたことで、ブドウは理想的な条件下で最終的な成熟を遂げることができました。この9月の好天が、特にカベルネ・ソーヴィニョンなどの晩熟型品種にとって大きな恩恵となりました。
ボルドー
2014年のボルドーは、変動の大きい気候が特徴のヴィンテージでしたが、9月の素晴らしい好天が品質を大きく向上させ、特に左岸(メドック)の赤ワインにとって成功した年となりました。春は暖かく乾燥していましたが、夏は例年より涼しく湿度が高く、8月までは難しい状況が続いていました。しかし、9月に入ると天候が劇的に回復し、乾燥した暖かい日が続き、ブドウは理想的な条件下でゆっくりと成熟することができました。
メドック (Medoc) / 左岸: 晩熟型のカベルネ・ソーヴィニヨンがこの9月の好天の恩恵を最大限に受けました。ブドウは十分に成熟し、良好なポリフェノール熟度とフレッシュさを両立させることができました。
- ポイヤック (Pauillac): シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・ラフィット・ロートシルトなどの著名シャトーを含め、力強く構造のある、かつエレガントな赤ワインが生産されました。
- サン・テステフ (Saint-Estephe): シャトー・コス・デストゥルネル、シャトー・モンローズなど、しっかりとした骨格を持つワインが特徴です。
- サン・ジュリアン (Saint-Julien): シャトー・デュクリュ・ボーカイユ、シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ、シャトー・レオヴィル・ポワフェレ、シャトー・レオヴィル・バルトン、シャトー・タルボなどで、エレガントでバランスの取れたワインが生産されました。
- マルゴー (Margaux): シャトー・マルゴー、シャトー・パルメ、シャトー・ジスクールなどで、優れた果実味と洗練されたタンニンを備えたワインが見られます。
これらのワインは、優れた果実味と洗練されたタンニンを備え、長期熟成のポテンシャルも持っています。
グラーヴ / ペサック・レオニャン (Graves / Pessac-Leognan): シャトー・オー・ブリオンやシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンをはじめとするシャトーが成功した赤ワインと、特に品質の高い辛口白ワインを生産しました。辛口白ワインは、フレッシュさと複雑さを兼ね備えたものが多く見られます。
サン・テミリオン / ポムロール (Saint-Emilion / Pomerol) / 右岸: メルローは夏の気候変動の影響をやや受けやすい傾向がありましたが、慎重な畑管理と選果が行われたシャトーでは品質の高いワインが生産されました。サンテミリオンの石灰質台地や、ポムロールの優れたテロワールでは、表現力豊かな果実味とバランスの取れた構造を持つワインが生まれました。シャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・オーゾンヌ(サンテミリオン)、シャトー・ペトリュス、シャトー・ラフルール(ポムロール)といったトップシャトーは、このヴィンテージでもその実力を示しました。右岸全体としては、左岸ほど一貫して優れているわけではなかったかもしれませんが、成功したワインは十分に凝縮感と複雑さを備えています。
ソーテルヌ / バルサック (Sauternes / Barsac): 甘口ワインにとっては、挑戦的な年となりました。夏場の湿気により病害のリスクが高まり、貴腐菌の理想的な発生には至らなかった地域が多くありました。しかし、一部の熱心な生産者は、厳格な選果と入念な対応により、品質の高い甘口ワインを少量生産しました。全体としては量が非常に少なく、品質も例年の偉大なヴィンテージには及ばない年とされています。
ブルゴーニュ
2014年のブルゴーニュは、全体として品質が高く、特に白ワインが優れたヴィンテージとして評価されています。春は好天に恵まれ生育は順調に進みましたが、夏は涼しく湿度が高く、果実蠅(ショウジョウバエの一種)や病害(特に灰色カビ病)の発生が懸念されました。しかし、9月に入ると乾燥した北風(ビーズ)が吹き、気温も上昇したことで、ブドウは健全な状態で成熟を終えることができました。厳格な選果が品質確保のために重要となりました。
コート・ド・ニュイ (Cote de Nuits): 赤ワイン(ピノ・ノワール)は、ピュアで表現力豊かな果実味と、明確な構造が特徴です。タンニンは細かく、過度に抽出されていません。エレガントでバランスの取れたスタイルで、比較的早くから楽しめるものが多いですが、優れた畑のワインは熟成のポテンシャルも秘めています。
- ジュヴレ・シャンベルタン (Gevrey-Chambertin): シャンベルタン (Chambertin)、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ (Chambertin Clos de Beze)、シャルム・シャンベルタン (Charmes-Chambertin)、クロ・サン・ジャック (Clos Saint-Jacques) などで、それぞれのテロワールの個性がよく表現されたワインが生産されました。
- モレ・サン・ドニ (Morey-Saint-Denis): クロ・ド・タール (Clos de Tart)、クロ・サン・ドニ (Clos Saint-Denis)、クロ・デ・ランブレイ (Clos des Lambrays) などでも同様の傾向が見られます。
- シャンボール・ミュジニー (Chambolle-Musigny): ミュジニー (Musigny)、レ・ザムルーズ (Les Amoureuses) などを含むこのアペラシオンでは、フィネスと繊細さが際立つワインが生産されました。
- ヴージョ (Vougeot): クロ・ド・ヴージョ (Clos de Vougeot) などでも、ヴィンテージの特徴を反映したワインが見られます。
- ヴォーヌ・ロマネ (Vosne-Romanee): ロマネ・コンティ (Romanee-Conti)、ラ・ターシュ (La Tache)、リシュブール (Richebourg)、ロマネ・サン・ヴィヴァン (Romanee-Saint-Vivant) などで、トップドメーヌは素晴らしいワインを生産しました。果実の鮮やかさと酸のバランスが良いものが成功しています。
- ニュイ・サン・ジョルジュ (Nuits-Saint-Georges): しっかりとした酸とストラクチャーを持つワインが見られます。
全体として、コート・ド・ニュイの赤は、果実のピュアさとエレガンスが特徴のヴィンテージと評価されています。
コート・ド・ボーヌ (Cote de Beaune): 赤ワイン(ポマール、ヴォルネイ、アロース・コルトンのコルトン・グラン・クリュなど)も全般的に良好な出来でした。アロース・コルトン (Aloxe-Corton)(コルトン)、ボーヌ (Beaune)、ポマール (Pommard)、ヴォルネイ (Volnay) といった村々で、しなやかで表現力豊かな赤ワインが見られます。
白ワイン (シャルドネ): 2014年ヴィンテージの最大の成功と言えます。フレッシュで明確な果実味、緊張感のある酸、そして印象的なミネラル感が特徴です。バランスが非常に良く、熟成のポテンシャルも高いです。
- コルトン・シャルルマーニュ (Corton-Charlemagne): ミネラル感が際立ち、長期熟成能力を持つ白ワインが生産されました。
- ムルソー (Meursault): フレッシュさと複雑さを兼ね備えた、バランスの良い白ワインが多く見られます。
- ピュリニー・モンラッシェ (Puligny-Montrachet): モンラッシェ (Montrachet)、シュヴァリエ・モンラッシェ (Chevalier-Montrachet)、バタール・モンラッシェ (Batard-Montrachet) などのグラン・クリュでは、ミネラル感が際立ち、層の豊かさと複雑さを持つ白ワインが数多く生産されました。
- シャサーニュ・モンラッシェ (Chassagne-Montrachet): 同様に、バランスの取れた高品質の白ワインが見られます。
シャブリ (Chablis): シャブリ・グラン・クリュ、シャブリ・プルミエ・クリュでも、特徴的なミネラル感とクリスプな酸を持つ優れた白ワインが生まれました。マコネ地区 (Macon) でも品質の高い白ワインが見られました。全体として、ブルゴーニュの2014年は、白ワインが例外的に成功しており、赤ワインもエレガントなスタイルの優れたヴィンテージと評価されています。
ローヌ
2014年のローヌ地方は、北部・南部ともに全般的に良好なヴィンテージでした。夏場の涼しい気候が懸念されましたが、9月の好天がブドウの成熟を助けました。
北部ローヌ (Northern Rhone): 主要品種であるシラーにとって満足のいく年でした。夏場の涼しさにより、ワインは過度な重さやアルコール度数を持たず、フレッシュさとアロマティックな表現力に優れるスタイルとなりました。
- エルミタージュ (Hermitage): ピュアな果実味とエレガントなタンニンを備えた赤ワインが生産されました。
- コート・ロティ (Cote-Rotie): フレッシュで、バランスの取れたタンニンと酸を持つワインが見られます。
- クローズ・エルミタージュ (Crozes-Hermitage): アクセスしやすく、フルーティなスタイルのワインが多く生産されました。
- サン・ジョセフ (Saint-Joseph) / コルナス (Cornas): 同様に、バランスの良い赤ワインが見られます。
- コンドリュー (Condrieu): ヴィオニエから造られる白ワインも、フレッシュでアロマティックな出来でした。
最高のヴィンテージのような凝縮感はありませんが、バランスが取れた魅力的なワインが多く見られます。
南部ローヌ (Southern Rhone): 概ね良好なヴィンテージでした。グルナッシュを主体とする赤ワインは、豊かな果実味と程よい構造を持ちます。夏場の涼しさにより、アルコール度数は例年の暑いヴィンテージほど高くなく、バランスの取れた仕上がりとなりました。
- シャトーヌフ・デュ・パプ (Chateauneuf-du-Pape): 表現力豊かで楽しみやすいスタイルのワインが多く生産されました。
- ジゴンダス (Gigondas) / ヴァケラス (Vacqueyras): 満足のいく品質のワインが見られます。
- タヴェル (Tavel): フレッシュで果実味豊かなロゼワインが生産されました。
全体として、ローヌの2014年は、フレッシュさと表現力豊かな果実味が特徴のヴィンテージと言えます。
ロワール
2014年のロワール地方は、全体として品質の高いヴィンテージとなりました。春の好天に続き、夏は比較的涼しかったものの、9月の乾燥した好天がブドウの健全な成熟に大きく貢献しました。
サントル・ニヴェルネ (Centre-Nivernais):
- サンセール (Sancerre) / プイィ・フュメ (Pouilly-Fume): ソーヴィニヨン・ブランの産地であるこれらの地域では、フレッシュでクリスピー、そして明確なミネラル感を持つ優れた白ワインが生産されました。酸が綺麗で、テロワールの表現力に優れるものが多く見られます。
アンジュー・ソミュール (Anjou-Saumur) / トゥーレーヌ (Touraine):
- ヴーヴレ (Vouvray) / モンルイ・シュール・ロワール (Montlouis-sur-Loire): シュナン・ブランの産地であるこれらの地域では、辛口、半辛口、甘口のいずれのスタイルも良好な出来でした。特に辛口は、緊張感のある酸と複雑な風味を持つワインが生産されました。
- サヴニエール (Savennieres): 優れたシュナン・ブランが見られます。
- シノン (Chinon) / ブルグイユ (Bourgueil): カベルネ・フランを主体とするこれらの赤ワイン産地では、表現力豊かな赤系果実の特徴を持ち、構造とフレッシュさのバランスが良いワインが生産されました。タンニンは細かく、バランスの取れた仕上がりです。
全体として、ロワールの2014年は、フレッシュさと構造が両立した、品質の高いヴィンテージと評価されています。
シャンパーニュ
2014年のシャンパーニュは変動の大きい年でしたが、9月の良好な天候により健全なブドウが収穫されました。ワインはフレッシュでバランスの良い酸を持ち、特にシャルドネは高い評価を得ています。多くのメゾンがヴィンテージ・シャンパーニュを生産しており、特に白ブドウが中心のキュヴェでは高品質なものが見られます。
アルザス
2014年のアルザスは挑戦的な年で、特に夏と初秋の湿度の高さが懸念されましたが、最終的には比較的健全なブドウが収穫されました。リースリング、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネールといった主要品種のワインは、フレッシュさと果実味のバランスがとれたものが多く見られます。特に乾燥した畑からはミネラル感の豊かな白ワインが生産されました。
イタリア
2014年のイタリアは、地域によってヴィンテージの評価が大きく分かれましたが、成功した地域では品質の高いワインが生産されました。全般的に夏場の気候が挑戦的となった地域が多く見られました。
ピエモンテ (Piedmont): 一部で挑戦的な気候に見舞われましたが、晩熟型のネッビオーロは9月以降の好天の恩恵を受け、満足のいく品質のワインが生産されました。バローロ (Barolo) やバルバレスコ (Barbaresco) は、クラシックでエレガントなスタイルとなり、長期熟成のポテンシャルを持つものも見られます。ラ・モッラ (La Morra)、モンフォルテ・ダルバ (Monforte d'Alba)、セッラルンガ・ダルバ (Serralunga d'Alba)、バローロ村 (Barolo)、カスティリオーネ・ファレット (Castiglione Falletto) などの村が含まれます。
ヴェネト (Veneto): 概ね満足のいくヴィンテージでした。アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ (Amarone della Valpolicella) などで良好なワインが生産されました。
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア (Friuli-Venezia Giulia) / アルト・アディジェ (Alto Adige): フレッシュでクリスプな白ワインが生産されました。
トスカーナ (Tuscany): 挑戦的な気候に見舞われた地域が多く、特に夏場の湿気と病害が懸念されました。しかし、慎重な畑管理と選果を行った生産者からは、品質の高いサンジョヴェーゼが生産されました。
- キャンティ・クラシコ (Chianti Classico): ガイオーレ (Gaiole)、ラッダ (Radda)、カステリーナ (Castellina)、グレーヴェ (Greve) などの村で、ヴィンテージの難しさにもかかわらず、ピュアな果実味とバランスの取れた構造を持つワインが見られます。
- ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ (Brunello di Montalcino): モンタルチーノ (Montalcino) 村でも同様に、慎重な生産者からは良好なワインが生まれています。
- ボルゲリ (Bolgheri): 沿岸部のこの地域では、成功した国際品種のワインが生産されましたが、全般的には選果が非常に重要な年でした。
南イタリア (プーリア、カンパーニア、シチリア): 北部や中部と比較して比較的恵まれた気候の地域が多く、全般的に良好なヴィンテージでした。乾燥した気候と十分な日照により、ブドウは健全に成熟しました。プーリア州 (Puglia)、カンパーニア州 (Campania)、シチリア州 (Sicily) などでは、力強く表現力豊かな果実味を持つワインが生産されました。ただし、地域によっては収穫期の雨が影響したケースも見られます。
スペイン
2014年のスペインは、地域によってヴィンテージの出来にばらつきが見られましたが、全般的には満足のいく品質のワインが生産されました。
リオハ (Rioja): 夏場の気候が挑戦的でしたが、9月の好天により品質が向上しました。テンプラニーリョは、エレガントでバランスの取れたスタイルとなり、過度な凝縮感はありませんが、ピュアな果実味を持つワインが見られます。リオハ・アラベサ (Rioja Alavesa)、リオハ・アルタ (Rioja Alta)、リオハ・バハ (Rioja Baja) の各地域で品質に差が見られました。
リベラ・デル・ドゥエロ (Ribera del Duero): 概ね満足のいくヴィンテージでした。テンプラニーリョ(ティント・フィノ (Tinto Fino) と呼ばれる)は、構造と果実味のバランスが良いワインが生産されました。パワフルさよりもエレガンスが際立つスタイルが多い傾向です。
プリオラート (Priorat): 挑戦的な夏を乗り越え、厳格な選果によって品質の高いワインが生産されました。カリニェナ (Carinena) やガルナッチャ (Garnacha) は、凝縮感がありながらもバランスの取れたワインとなりました。
リアス・バイシャス (Rias Baixas): アルバリーニョ (Albarino) の白ワインは、フレッシュでミネラル感のある高品質なものが多く見られます。
その他の地域でも品質はばらつきましたが、成功した生産者からは優れたワインが生まれています。
ドイツ
2014年のドイツは、比較的挑戦的なヴィンテージとなりました。春は暖かく生育は早まりましたが、夏は涼しく湿気が多く、収穫期にかけて雨が降ったことで、病害(特に果実蠅や灰色カビ病)の発生が大きな問題となりました。
リースリングは、特に収穫時期の天候に左右されました。厳格な選果と慎重な畑管理を行った生産者からは、品質の高いワインが生産されましたが、全体としては品質にばらつきが見られます。モーゼル (Mosel)、ラインガウ (Rheingau)、ナーエ (Nahe)、ファルツ (Pfalz)、ラインヘッセン (Rheinhessen) といった地域で、フレッシュな酸を持つクリスプなワインが生産されました。辛口ワインは全般的に良好なものが多く、甘口ワインは貴腐の発生が限られたため、生産量が少なく、品質もヴィンテージによっては均一ではありませんでした。
全体として、2014年はドイツワインにとって難しい年でしたが、生産者の技術が品質に大きく反映されたヴィンテージと言えます。
アメリカ
2014年のアメリカのワイン産地、特にカリフォルニア州は、一部で干ばつが懸念されましたが、全体的には品質の高い優れたヴィンテージとなりました。生育期間は比較的暖かく乾燥しており、収穫は早めに始まりました。
カリフォルニア (California): 乾燥した気候がブドウの病害リスクを低減し、健全な成熟を促しました。
- ナパ・ヴァレー (Napa Valley): カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどの品種が高い品質のものとなりました。特に赤ワインは、凝縮感がありながらもバランスが取れ、構造のしっかりしたワインが生産されました。オークヴィル (Oakville)、ラザフォード (Rutherford)、セント・ヘレナ (Saint Helena)、カリストガ (Calistoga) などのサブリージョンで成功したワインが見られました。
- ソノマ・カウンティ (Sonoma County): ロシアン・リヴァー・ヴァレー (Russian River Valley)、ソノマ・コースト (Sonoma Coast)、アレクサンダー・ヴァレー (Alexander Valley) などで、ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種が成功しています。白ワインもフレッシュさと複雑さを兼ね備えています。
- セントラル・コースト (Central Coast): こちらも全般的に良好な出来でした。
収穫量が豊富であった地域も多く見られます。
オレゴン (Oregon): 成功したヴィンテージでした。ピノ・ノワールやシャルドネは、表現力豊かでバランスの取れたワインが生産されました。
ワシントン (Washington): 暖かく乾燥した気候により、品質の高い赤ワインが生産されました。シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどが成功しています。
オーストラリア
2014年のオーストラリアは、地域によってヴィンテージの出来にばらつきが見られました。乾燥した気候の地域は全般的に良好なヴィンテージでしたが、一部の東部地域では気候変動の影響を受けました。
南オーストラリア (South Australia): バロッサ・ヴァレー (Barossa Valley)、マクラーレン・ヴェール (McLaren Vale)、クナワラ (Coonawarra) といった地域では、全般的に良好なヴィンテージでした。シラーズ (Shiraz) やカベルネ・ソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon) は、凝縮感がありながらもバランスの取れたワインが生産されました。
西オーストラリア (Western Australia): マーガレット・リヴァー (Margaret River) は成功したヴィンテージで、品質の高いカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネが生産されました。
ヴィクトリア (Victoria) / ニューサウスウェールズ (New South Wales): 一部地域では、霜や熱波といった極端な気候イベントの影響を受け、収穫量や品質に影響が出た地域も見られます。特に東部地域では、収穫期の雨が懸念された地域もありました。
全体として、2014年はオーストラリア全体で一貫して優れているというわけではありませんでしたが、多くの主要産地で品質の高いワインが生産されたヴィンテージと評価されています。
ニュージーランド
2014年のニュージーランドは、特にマールボロ (Marlborough) をはじめとする主要地域で優れたヴィンテージとなりました。ソーヴィニヨン・ブランは、アロマティックでフレッシュな特徴を持ち、世界的な評価を受けています。ピノ・ノワールも成功し、セントラル・オタゴ (Central Otago) などではエレガントで熟成のポテンシャルを持つワインが生産されました。シャルドネやピノ・グリなどの品種も高い品質のものが多く見られます。
チリ
2014年のチリは、全体として良好なヴィンテージでした。主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、シラーなどは、マイポ・ヴァレー (Maipo Valley)、コルチャグア・ヴァレー (Colchagua Valley) などの中心地域で、凝縮感とバランスの取れたワインとなりました。冷涼な地域のピノ・ノワールやシャルドネも成功し、フレッシュさと複雑さを備えたワインが生産されています。
南アフリカ
2014年の南アフリカは、ステレンボッシュ (Stellenbosch)、フランシュフック (Franschhoek)、パール (Paarl)、スワートランド (Swartland) などの主要産地で、高品質なワインが生産されました。カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、ピノタージュなどの赤品種は、バランスのとれた構造と豊かな果実味を持つワインとなりました。シュナン・ブランやソーヴィニヨン・ブランなどの白品種も優れた品質のものが多く見られます。