2011年 DRCロマネ・コンティ:伝説の雫の記憶
ヴィンテージの全体像と気候背景
2011年のブルゴーニュは、春の早い芽吹きと収穫、そして予測困難な天候に翻弄された困難な年でした。夏は不安定で、7月から8月にかけては雨と雷雨に見舞われ、ブドウの果皮に微細な亀裂が生じボトリティス(灰色カビ病)が発生しやすい状況となりました。一部の果実は春先に日焼けし、ヴェレゾン(色づき)に至らない未熟な果粒も見られました。
収穫は9月初旬から始まり、ヴォーヌ・ロマネでは9月5日から開始されました。幸運なことに収穫期間中は雨に見舞われることなく、適切なタイミングで収穫作業を進めることができました。
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の対応
この困難な年において、DRCは徹底的な選果を実施し、最上級のブドウのみを使用する戦略を取りました。その結果、収量は減少したものの、品質は非常に高いものとなりました。また、伝統的な醸造方法を堅持したことで、ブドウの持つテロワールの個性を最大限に引き出すことに成功しています。
2011年ロマネ・コンティの特徴
2011年のロマネ・コンティは、2009年と2010年という偉大な前後ヴィンテージの陰に隠れ、リリース当初は控えめな評価でしたが、数年を経てその真価が再評価されています。若々しさと堅牢さを備え、冷涼なミネラル感、緻密なタンニン、そしてピュアな赤系果実の香りが特徴です。「テロワールの表現力」と「繊細なエレガンス」に優れた特別なヴィンテージと評価されています。
テイスティングノート
ロマネ・コンティ2011は、最初は控えめな印象から始まり、ストロベリーや火打石、スモーキーな香りが特徴です。時間の経過とともに複雑なアロマが広がります。口当たりは非常に滑らかで、レースのようなタンニンと絶妙な酸のバランスが際立ちます。余韻は非常に長く続き、途切れることのないエレガンスが特徴的です。
熟成のポテンシャルは非常に高く、2017年以降から少なくとも2040年頃までの長期熟成が期待できるとされています。時間の経過とともに、より深みと複雑さを増していくでしょう。
評価とまとめ
2011年のDRCロマネ・コンティは、困難な気候条件下でも卓越した品質を実現した特別なヴィンテージです。生産者の高度な技術と経験、そしてテロワールの力が結合し、エレガントでバランスの取れた素晴らしいワインが生み出されました。
若いうちからも魅力的ですが、中期から長期の熟成によって真価を発揮するポテンシャルを秘めています。2011年ヴィンテージは控えめな評価から始まったものの、時間の経過とともに再評価され、今では「隠れた逸品」として認識されつつあります。