2019年 DRC ロマネ・サン・ヴィヴァン|DRCが紡ぐ繊細の極致
2019年ヴィンテージ ― ブルゴーニュの豊かな実り
2019年のブルゴーニュは、温暖で日照に恵まれた年として記憶されています。春先の霜害や夏の猛暑という試練を乗り越えた葡萄は、凝縮した果実味と驚くほどの均整を備えたワインを生み出しました。DRCの厳格な収量制限とビオディナミ農法のもとで育まれたピノ・ノワールは、この年の恩恵を余すことなく受け止め、力強さの中に透明感を湛えた液体へと姿を変えています。
ロマネ・サン・ヴィヴァン ― 修道院が育んだテロワール
ロマネ・サン・ヴィヴァンの畑の歴史は、12世紀のサン・ヴィヴァン修道院にまで遡ります。修道士たちが丹念に耕し、区画ごとの個性を見極めてきたこの土地は、ヴォーヌ・ロマネ村のグラン・クリュの中でも独特の繊細さを誇る場所です。石灰岩と泥灰土が複雑に入り混じる土壌は、ワインに鮮やかなミネラルと、花束を思わせる芳香をもたらします。DRCが所有する5.29ヘクタールの区画は、特にこの畑の精髄を体現する位置にあり、畑名そのものがかつてロマネ・コンティの一部であったことを物語っています。
DRCの哲学が宿るエレガンス
DRCの6つのグラン・クリュの中で、ロマネ・サン・ヴィヴァンは最もエレガントで繊細な存在と位置づけられています。ラ・ターシュの力強さ、リシュブールの官能性とは一線を画す、絹のように滑らかなテクスチャーと、バラ、スミレ、白檀が複雑に織りなす香りが最大の魅力です。口に含むと、赤い果実の透き通った甘みが舌の上を流れ、柔らかなタンニンとともに長い余韻へと続いていきます。
7年の時を経て ― 今、開き始める窓
2019年の収穫から7年。若い頃の硬さが徐々にほどけ、ワインは新たな表情を見せ始めています。熟成によって果実の第一アロマの奥から、なめし革、腐葉土、スパイスといった複雑な第二・第三アロマが顔を出し始める時期です。グラスに注いだ瞬間の華やかな立ち香りから、時間とともに変化していく万華鏡のような香りの展開は、このワインを杯を重ねるごとに深く知る悦びを与えてくれます。さらに10年、20年と瓶内で熟成を重ねることで、ロマネ・サン・ヴィヴァン特有の神秘的な奥行きが一層際立っていくことでしょう。
2019年という時間の記録
令和元年にあたるこの年、日本では新たな時代が幕を開けました。世界では様々な出来事が交錯した2019年という年の空気が、このボトルの中に閉じ込められています。その年に生まれた命、成し遂げた仕事、交わした約束――ブルゴーニュの偉大な畑で醸されたこのワインは、あの年の記憶とともに、静かに時を刻み続けています。