2012年 ピエール・ブレ ムルソー一級 ラ・ピエス・スー・ル・ボワ|古典派ネゴシアンの白
2012年のブルゴーニュ白は、春の霜や雹による収量減に見舞われたものの、夏以降の好天により凝縮感のあるブドウが収穫されました。量より質のヴィンテージとして、特にムルソーでは充実した果実味と酸のバランスに優れたワインが生まれています。ピエール・ブレ(メゾン・ピエール・ブレ・フィス)は、ジュヴレ・シャンベルタンに本拠を置く1864年創業の老舗ネゴシアンです。伝統的な長期樽熟成を守り続け、モダンなスタイルが主流となった現代ブルゴーニュにおいて、古典的なワイン造りを貫く数少ない存在として知られています。華やかさよりも奥行きと複雑さを重視するその姿勢は、熟成を経てこそ真価を発揮します。ラ・ピエス・スー・ル・ボワは、ムルソー村のプルミエ・クリュの中でもあまり名前が知られていない小さな畑です。「森の下の区画」という名が示すとおり、斜面上部の森に近い冷涼な立地にあり、引き締まった酸とミネラルを備えたワインを生み出します。シャルドネ100%。ムルソーらしいバターやヘーゼルナッツの風味に、白い花、柑橘、蜂蜜のニュアンスが重なります。10年以上の熟成を経て、トーストやアーモンドの香ばしさが加わり、厚みのある口当たりと芯のある酸が調和した円熟の味わいに。ペリエールやジュヌヴリエールといった著名一級畑に比べ、ラ・ピエス・スー・ル・ボワの名を知る人は多くありません。しかし、その冷涼な立地が生むミネラルと酸の骨格は、ムルソーの多面的な魅力を教えてくれる畑です。古典派ネゴシアンが手掛けた知られざる一級畑の白。派手さはないけれど、静かに語りかけてくるような1本です。