1999年DRCリシュブール - クラシックなヴィンテージの力強さと優雅さ
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の1999年リシュブールは、ブルゴーニュの偉大なヴィンテージの一つとして名高い年です。理想的な気候条件とDRCの卓越した醸造技術により、リシュブールらしい力強さとエレガンスが融合したワインが生まれました。1999年は、ブルゴーニュ愛好家の間で今なお語り継がれる、長期熟成のポテンシャルを備えた傑作として評価されています。
1999年ヴィンテージの気候条件と特徴
1999年のブルゴーニュは、優れた気候条件に恵まれた年でした。春は温暖で、ブドウの芽吹きと開花が順調に進みました。夏は適度な暑さと十分な日照があり、ブドウの成熟が均一に進行。8月末から9月初旬にかけての適度な降雨が、ブドウに必要な水分を補給し、糖度と酸のバランスを整えました。DRCの共同経営者オベール・ド・ヴィレーヌ氏は、1999年のリシュブールのブドウは「驚くほど健全で、濃縮感とフレッシュさが共存していた」と回想しています。収穫は9月中旬から下旬に行われ、果実は最適な熟度で収穫されました。この年のブドウは、しっかりとしたタンニンと高い酸度を持ち、長期熟成に耐えうる骨格を備えていました。
香りと味わいの特徴(当時の評価)
1999年のリシュブールは、当時、豊かで複雑な香りが高く評価されました。ブラックチェリーやラズベリーの濃厚な果実のアロマに、バラやスミレの花のニュアンス、シナモンやクローブなどのスパイスが層を成して現れていました。さらに、湿った土やキノコ、ほのかなハーブの香りが、リシュブールらしい力強いテロワールを表現。味わいは、濃密な果実味としっかりとしたタンニンが特徴で、ピノ・ノワールのエレガンスを保ちつつ、リシュブール特有の骨太な構造が感じられました。フィニッシュには、ミネラル感とスパイシーな余韻が長く続き、当時の評論家は「若々しい活力と熟成のポテンシャルが共存する」と評していました。このワインは、開けたてでも魅力的でしたが、熟成によりさらに深みを増すと期待されていました。
評論家の評価と熟成ポテンシャル
ワイン評論家のアレン・メドウズ(Burghound)は、1999年のリシュブールを「リッチで力強く、驚くほど調和が取れている」と絶賛し、94~96点の高評価を与えました。ロバート・パーカーも「リシュブールの持つパワフルな個性と洗練されたフィネスが見事に融合」と評し、95点を付与。当時、このヴィンテージは10~20年以上の熟成でさらに複雑な二次的・三次的なアロマが開花すると予測されました。2025年現在、適切に保存されたボトルは飲み頃のピークに達している可能性が高く、トリュフや革、森の下草といった熟成香が顕著に現れていると推測されます。
歴史的ヴィンテージとの比較
1999年のリシュブールは、ブルゴーニュの歴史的なヴィンテージである1990年や2005年に匹敵する品質とされ、特にバランスと濃密さで際立っています。1990年のリッチな果実味や2005年の精緻な構造と比べ、1999年はよりクラシックで力強いスタイルが特徴です。評論家クライヴ・コーツは、「1999年のリシュブールは、DRCのテロワールとピノ・ノワールの純粋な表現が完璧に調和したワイン」と述べ、当時の批評でその完成度を高く評価しました。DRCの有機栽培と厳格な選果が、このヴィンテージの卓越した品質を支えました。