1987年 ヴァルカレッピオ ヴィッラ・マイノーニ|ロンバルディアの隠れた名品
1987年ヴィンテージ ― イタリア北部の冷涼な恵み
1987年のイタリアは、冷涼で雨の多い難しい年として知られています。しかし、こうした年にこそ真価を発揮する造り手が存在します。厳しい気候条件のもとで丁寧に選果を行い、収量を抑えた生産者のワインには、温暖な年にはない繊細さと気品が宿ります。ロンバルディア州の穏やかな丘陵地帯で育まれたこのワインは、まさにそうした忍耐の結晶です。
ヴァルカレッピオ ― ベルガモの丘が生む知られざるDOC
ヴァルカレッピオは、ミラノの北東に位置するベルガモ県の丘陵地帯に広がるDOCです。アルプスから吹き降ろす冷たい風と、イセオ湖がもたらす穏やかな気候の恩恵を受けるこの産地は、古くからワイン造りが行われてきたにもかかわらず、イタリアワインの世界地図では見過ごされがちな存在です。石灰質と粘土質が混在する土壌は、カベルネ・ソーヴィニョンとメルローという国際品種に独自のミネラル感と土地の個性を与えます。
ヴィッラ・マイノーニの流儀
カベルネ・ソーヴィニョンとメルローのブレンドによるこのワインは、ボルドースタイルでありながら、どこかイタリアらしい明るさと親しみやすさを感じさせます。約38年の熟成を経た今、果実味は穏やかに枯れ、なめし革、乾燥したハーブ、煙草の葉、そして湿った土の香りへと変化しているはずです。タンニンは完全に溶け込み、ワインの骨格と一体化しています。
38年の歳月が語るもの
1987年――日本ではバブル景気が本格化し、国鉄が民営化されてJRが誕生した年。世界経済が大きく動いたこの年に、ロンバルディアの小さな畑で静かに収穫された葡萄が、今もなおボトルの中で息づいています。38年という時間は、ワインにとっても人にとっても、決して短くはない歳月です。その長い時の流れが凝縮された液体を、グラスに注ぐ瞬間の緊張と期待――それこそが、熟成ワインだけが持つ特別な体験です。