1982年DRCエシェゾー - 隠れた名作の魅力
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の1982年エシェゾーは、ブルゴーニュの良質なヴィンテージの一つとして知られる。DRCの厳格な醸造とエシェゾーのユニークなテロワールが、愛好家の間で高く評価される高品質なピノ・ノワールを生み出した。
1982年ヴィンテージの気候条件と特徴
1982年のブルゴーニュは、夏は8月まで乾燥して温暖な気候に恵まれた。8月に適度な降雨があり、その後9月の収穫期は理想的な天候条件となった。豊富な陽光と高温により、ブドウの完璧な熟成が進み、この好条件は10月第1週まで続いた収穫期間中も維持された。エシェゾーの約4.67haの畑から健全で濃縮したブドウが得られ、高い酸度としっかりしたタンニンが特徴となった。DRCの厳格な選果により、27,968本という限定生産となった。この年のエシェゾーは、DRCの他のグラン・クリュに比べ、比較的早熟で親しみやすいスタイルが際立った。
エシェゾーのDRC内での位置づけ
エシェゾーは、DRCのポートフォリオの中で、ロマネ・コンティやラ・ターシュのようなフラッグシップに比べ、比較的親しみやすく早飲み可能なワインとして位置づけられる。ヴォーヌ・ロマネ村に位置するエシェゾー・グラン・クリュの畑は、DRCが所有する4.67haの区画で、複雑な土壌構成(粘土と石灰岩)が果実味の豊かさとエレガンスを生む。1982年は、エシェゾーのこの特性が特に顕著で、DRCの他のワインに比べ価格も低めだが品質の高さから「隠れた名作」と評されることが多い。愛好家の間では、ロマネ・コンティの壮大さに対し、エシェゾーはよりコストパフォーマンスの高い贅沢として親しまれる。
1982年の醸造と歴史的背景
1982年のエシェゾーには、DRCの共同経営者オベール・ド・ヴィレーヌ氏が収穫時に「エシェゾーのブドウが予想外に早く熟し、驚くほど均一だった」と語ったエピソードがある。この年、温暖な気候がブドウの成熟を早め、通常より早い9月初旬に収穫が始まった。DRCのチームは、エシェゾーの区画で特に厳しい選果を行い、完璧な果実のみを使用した結果、27,968本という希少な生産量となり、コレクターズアイテムとしての価値がさらに高まった。当時のDRCは伝統的な有機農法に近い手法を用いており、化学肥料や農薬に頼らない自然な栽培を重視していた。現在DRCが実践するバイオダイナミック農法の本格的な導入は、この時代よりもずっと後になる。
評論家の評価と熟成ポテンシャル
ワイン評論家は、1982年のエシェゾーをバランスが良く、親しみやすいワインと評価し、ヴィンテージチャートでは2.5星の評価を受けている。柔らかく若いうちから楽しめるスタイルながら、適切な保存で20~30年の熟成が可能とされた。2025年現在、適切に保存されたボトルは熟成のピークを迎えており、ブラックベリー、シダー、トリュフのアロマに、熟成による革やスパイスのニュアンスが加わった複雑で優雅な味わいを楽しむことができる。