国際的に高く評価されるシャトー・フェラン・セギュール
アイルランド系創業者による歴史的設立
シャトー・フェラン・セギュールは、1805年にアイルランド人のベルナール・オフェラン(Bernard O'Phelan、1770-1841年)によって設立されました。彼は18世紀末にティペラリーの故郷を離れ、英国諸島との重要な貿易拠点であったボルドーに移住し、1805年にクロ・ド・ガラメを購入、1810年にセギュール・ド・カバナック農園を取得して統合しました。著名なボルドーワイン商ダニエル・ゲスティエの娘との結婚により、ボルドーのワイン業界での地位を固め、アイルランドとボルドーの文化が融合したユニークなシャトーとして発展させました。
フランク・フェランによる品質向上の時代
1841年にベルナールが亡くなると、統合されたシャトー・セギュール・ド・ガラメ農園は息子のフランク・フェラン(1820-1883年)に引き継がれました。フランクは30年間サン・テステフの市長を務め、アイルランド系の背景を持ちつつボルドーの地域社会で活躍し、農園の品質向上に生涯を捧げました。彼の時代にシャトーのワインの品質向上が図られ、ブランドの名声が高まり、現在のシャトーの基礎が築かれました。
近代化と所有者変遷
1985年にガルディニエ家のザビエ・ガルディニエが購入し、息子のティエリー・ガルディニエが経営を担当しました。ガルディニエ家の時代には醸造設備の近代化やブドウ畑の管理改善が行われ、シャトー・フェラン・セギュールは国際的な評価をさらに高めました。2017年8月、シャトーは記録的な9000万ユーロでベルギーの富豪投資家で運輸・物流企業を経営するフィリップ・ヴァン・ド・ヴィベール(Philippe Van de Vyvere)氏に売却されました。
立地とテロワールの特徴
シャトー・フェラン・セギュールはサン・テステフのコミューンに位置し、1855年格付けの名門シャトー・カロン・セギュール(3級)とシャトー・モンローズ(2級)に隣接しています。70ヘクタールの畑は、ジロンド川に近い砂利質の土壌に恵まれており、排水性に優れ、ブドウに複雑なタンニンと構造を与えます。現在の品種構成は、カベルネ・ソーヴィニヨン58%、メルロー39%、カベルネ・フラン1.5%、プティ・ヴェルド1.5%となっています。
格付けと評価
シャトー・フェラン・セギュールは1855年格付けには含まれませんが、2003年のクリュ・ブルジョワ格付け改訂で「クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル」に分類されました。2010年に新制度が導入された後も、引き続きクリュ・ブルジョワ・エクセプショネルの最高ランクに位置しています。カベルネ・ソーヴィニヨン主体のしっかりしたタンニンと豊かな果実味、ミネラル感が特徴で、セカンドワイン「フランク・フェラン」も生産しており、コストパフォーマンスに優れたワインとして国際的に高く評価されています。