半世紀を越えて、こんなに美味しい。1975年ヴォルネイ・サントノを開けた日

「本当に素晴らしく美味しかった」
1975年のヴォルネイ・サントノを開けました。ラベルに記されているのは、マダム・ボワイヨ・ジョルジェの名。1975年から2026年へ、収穫年から数えると51年を経たブルゴーニュです。
飲んだ感想は、「本当に素晴らしく美味しかった」。まず、その言葉を残しておきたいと思いました。古い年号に感心するだけで終わらず、飲んで美味しいと感じられる。その喜びを、抜栓からグラスに注ぐまでの写真とともにお伝えします。
最初の難関は、コルクでした

ヴィンテージワインのコルクは、長い年月のあいだに湿って、折れやすくなっています。この一本も例外ではなく、抜いている途中で一度、コルクが折れてしまいました。

それでも道具は、普通のソムリエナイフ一本だけ。ボトルの中に残った部分にもう一度スクリューを立て、少しずつ引き上げて、破片をワインの中に落とすことなく、残りのコルクも抜き切ることができました。


取り出したコルクは、全体が適度に湿っていて、とても良いコンディションでした。香りを確かめると、土や腐葉土を思わせる匂い。半世紀のあいだ、ワインとともに眠っていた栓の香りです。
グラスに注ぐと、いきいきとしていた

グラスに注いだ瞬間、素晴らしい香りが広がりました。コルクの土の匂いとは違う、しっかりとしたベリー系の香り。50年を越えたワインが、こんなにいきいきとしているのかと驚きました。
味わいは芳醇で、熟成したピノ・ノワール特有の香りがあります。それでいて枯れた印象はまったくなく、何よりも状態が良く、元気なワインでした。折れたコルクの姿と、グラスの中のワインは、同じものではない。そのことを、この一本が教えてくれました。
最後の一杯まで、止まりませんでした

一口飲んだら、止まらなくなりました。このまま一本すべて飲んでしまいたい。そう思うほど美味しく、その気持ちは本当に最後の一杯まで変わりませんでした。
この文章でお伝えしているのは、私が今回開けた一本の感想です。同じ年・同じ銘柄でも、別のボトルが同じ味になると約束するものではありません。それでも「本当に素晴らしく美味しかった」という実体験は、古いブルゴーニュに心を惹かれる理由を、何より率直に伝えてくれます。
試飲の感想・写真提供:酒井。銘柄の詳細は、下の商品ページからご覧いただけます。
ヴィンテージと生産者のいま
掲載写真は今回開栓して飲んだボトルの記録です。販売中の別個体の状態・味わいを示す写真ではありません。
マダム・ボワイヨ・ジョルジェ ヴォルネイ・サントノ 1975 を知る専門店の解説 ・ 1,233字
1975年ヴィンテージ
1975年という収穫年から、2026年で51年。これは収穫年を起点にした時間であり、このボトルが51年間ずっと瓶の中で熟成していたという意味ではありません。
長い年月を経たワインを前にすると、その年が良い年だったかどうかを知りたくなります。ただ、今回はこの生産者の1975年について、収穫日や天候、醸造を裏付ける一次資料を確認できていません。年全体の評価を借りて、今回の美味しさを説明し切ることは避けたいと思います。
ここで確かに残せるのは、ラベルに1975と記されていること、実際に開けたこと、そして酒井が美味しかったと感じたこと。ヴィンテージの数字に、その一本を飲んだ人の記憶が重なる。今回の記事は、そのための記録です。
マダム・ボワイヨ・ジョルジェ ヴォルネイ・サントノ
正面ラベルには「Volnay-Santenots」と「MADAME BOILLOT-GEORGET」、下部には「PROPRIÉTAIRE-VITICULTEUR À MEURSAULT」の文字が見えます。銘柄名にはヴォルネイ、所在地にはムルソー。この組み合わせには、ブルゴーニュの土地と呼称の関係が表れています。
サントノの赤ワインは、ムルソー村内の畑から生まれながら、ヴォルネイの名で扱われます。ジョゼフ・ドルーアンの公式解説も、ヴォルネイ・サントノの生産村をムルソー、品種をピノ・ノワールとしています。マルキ・ダンジェルヴィルの公式資料も、サントノでは植える品種によってヴォルネイとムルソーの名が分かれることを説明しています。
一方、今回のラベルにあるマダム・ボワイヨ・ジョルジェについて、他のボワイヨ姓のドメーヌとの系譜や現在の承継先までは確認できていません。同姓を根拠に別の生産者の歴史を重ねず、現物に残る名前をそのまま紹介します。
味わいの特徴
酒井の今回の感想は「本当に素晴らしく美味しかった」。香りの種類、酸やタンニンの強さ、余韻の長さなどの詳しい表現は、まだ言葉として記録していません。写真から香りを決めたり、他の生産者のテイスティングコメントを今回の感想として移したりはせず、まずこの実感を大切にします。
写真には崩れたコルクが写り、試飲の感想には美味しさが残っています。この二つが同時にあったことこそ、今回の一本の印象的なところです。ただし、崩れたコルクが美味しさの証しになるわけでも、古ければ必ず美味しくなるわけでもありません。この日に開けた一本についての、喜ばしい結果としてお読みください。
1975年という時代
1975年に収穫された葡萄から造られたワインを、2026年に飲む。半世紀を越える時間が、年号の付いた一本のボトルと、目の前の一杯に結び付いています。
今回の写真が伝えるのは、保存されたラベルの姿だけではありません。栓を開ける手元、小皿のコルク、テーブルの上のグラス。長く残されてきたワインが実際に飲まれ、「美味しかった」という新しい記憶になるところまでが写っています。飲んで終わりにせず、その一夜を写真と文章で残すことにも、古酒を楽しむ意味があるのだと思います。
状態の記録を全部見る(確認者・確認日つき)
| 銘柄/ヴィンテージ | 1975年 マダム・ボワイヨ・ジョルジェ ヴォルネイ・サントノ 赤ワイン 1975(Madame BOILLOT-GEORGET Volnay Santenots) |
|---|---|
| 商品コード | 7900513 |
| 容量 | 750ML |
| 確認者/確認日 | 酒井/ |




