今年で100年を迎えるラフィット 1926|シャトー・ラフィット・ロートシルト

2026年、シャトー・ラフィット・ロートシルト 1926 は、ぶどうが実った年からちょうど100年を迎えます。一世紀を越えたラフィットを、この節目の年のうちにご紹介したく、在庫から1本を出しました。750ml・赤、在庫は1本のみです。
まずはラベルから。館と木立、畑で働く人々を細い線で描いた銅版画風の図柄の上に「MIS EN BOUTEILLE AU CHÂTEAU(シャトー元詰め)」の赤い文字、下に「CHÂTEAU LAFITE-ROTHSCHILD」と赤い「1926」が並びます。100年前の年号が、いまもはっきり読み取れます。
首元には赤いキャップシールが残り、天面には刻印、首の部分には館の絵が入っています。瓶越しに光を当てると、肩のあたりに深い赤が透けて見えました。
1926年のボルドーは、春の開花期に天候が崩れて結実不良が広がり、収量は平年の約半分にとどまったとされます。収穫が始まったのは9月28日で、遅めの年でした。量こそ少なかったものの、濃縮感と堅牢な構造、熟成力を備えた年と記され、ラフィットも深みのあるワインを造ったシャトーのひとつに挙げられています。
この年の12月25日、大正天皇が崩御し、元号は昭和に改まりました。昭和元年はわずか1週間しかありません。大正最後の夏にポイヤックの畑で育ったぶどうから生まれた1本が、100年の時を経て、いまプラチナワインの棚にあります。
写真はラベルの斜め撮りとアップ、肩からの色合い、キャップシール、ボトル全体の6枚です。写真から読み取れる範囲を超えた状態は、この記事では断定しません。気になる点は、お問い合わせいただければ現物を見ながらお答えします。
確認者は酒井、確認日は2026年10月3日です。100年目の節目に、一世紀前のラフィットをぜひご覧ください。
ヴィンテージと生産者のいま
1926年のボルドーは、開花期の結実不良で収量が平年の約50%に減り、収穫は9月28日開始の遅めだったとされています。一方で、濃縮感と堅牢な構造、熟成力を備えたワインと記され、ラフィットも『深みのあるワイン』を造った一社に挙げられています。
生産者のいまでは、2024年のラフィットは9月23日から10月7日に収穫したと、テクニカルディレクターのエリック・コレールが説明しています。そのコレールは、醸造責任者の役割再編により、ラフィットとデュアール・ミロン専任になったと報じられました。
シャトー・ラフィット・ロートシルト 1926 を知る専門店の解説 ・ 2,363字
1926年ヴィンテージ
1926年のボルドーは、春の開花期に天候が崩れ、結実不良(クリュール)が広がりました。そのため収量は平年の約半分にとどまったとされます。収穫は9月28日に始まり、例年より遅めでした。この年のワインは、濃縮感と堅牢な骨格、そして長期熟成に耐える力を備えたと記されています。ラフィットも、この年に深みのあるワインを生んだシャトーのひとつに数えられています。生産量が少なく品質が高かったことから、1926年は両大戦間で最も高い価格が付いたヴィンテージともいわれます。
シャトー・ラフィット・ロートシルト
シャトー・ラフィット・ロートシルト(Château Lafite Rothschild)は、ボルドー左岸メドック地区の北部、ポイヤック村にあります。1855年のメドック格付けで第1級(Premier Grand Cru Classé)に選ばれ、当時の一覧で筆頭に記されたシャトーです。南隣には同じロスチャイルド家の流れをくむシャトー・ムートン・ロートシルトがあります。北側では小川ジャル・デュ・ブルイユを挟んでサンテステフ村と接し、対岸にはシャトー・コス・デストゥルネルの畑が広がります。
ポイヤックはジロンド河に沿った村です。河が運んできた厚い砂利層が、石灰質や泥灰土の下層土を覆っています。砂利は水はけがよく、日中の熱をためて夜にぶどうへ返すため、晩熟のカベルネ・ソーヴィニヨンがしっかりと熟します。そのため、この村のワインは引き締まったタンニンと長い熟成力を持つことで知られます。村内にはラフィットのほか、シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン、シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド、シャトー・ランシュ・バージュなど、名だたる造り手が集まっています。
シャトーの起源は16世紀にさかのぼります。18世紀には「ぶどう畑の王子」と呼ばれたセギュール侯爵のもとで名声を確立しました。1868年、ジェームス・ド・ロスチャイルド男爵がシャトーとともにこの地所を取得します。それ以来、所有はロスチャイルド家に受け継がれてきました。1926年のこのワインも、男爵の子孫である同家の当主たちのもとで造られています。20世紀後半にはエリック・ド・ロスチャイルド男爵が長くシャトーを率いました。2018年には娘のサスキア・ド・ロスチャイルドがドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルド(ラフィット)の会長に就き、同家で初めての女性トップとなっています。サスキアはポイヤックに住んで経営を直接指揮しており、これは1868年以来、ラフィット側のロスチャイルド家で初めてのことだとされます。最近では醸造チームも再編され、エリック・コレールがラフィットとデュアール・ミロン専任のテクニカルディレクターに就いたと報じられました。
敷地は約178ヘクタールで、そのうち約116ヘクタールがぶどう畑です。畑は大きく三つに分かれます。シャトーを囲む丘の区画、西側のカルーアード台地、そしてサンテステフ側にある約4.5ヘクタールの区画です。品種構成はカベルネ・ソーヴィニヨン約70%、メルロ約25%、カベルネ・フラン約3%、プティ・ヴェルド約2%と紹介されています。セカンドワインのカルーアード・ド・ラフィットは、カルーアード台地などの区画から造られます。近年は年ごとにブレンドの比率をはっきり変えています。2024年は9月23日から10月7日にかけて収穫され、カベルネ・ソーヴィニヨン96%という極めてカベルネ中心の構成でした。
醸造では、自社の樽工房で作った新樽を使い、熟成はおおむね18か月前後とされます。新樽比率はほぼ100%といわれます。それでもラフィットのスタイルの軸は、樽の力よりも、香りの繊細さと骨格の気品に置かれています。生産量はグラン・ヴァンで年に約1万5千〜2万ケース前後とされます。1855年に得た第1級の地位は、160年以上たった今も変わっていません。
味わいの特徴
ラフィットは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体にメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを合わせる構成で、現在の比率はおよそ70%・25%・3%・2%とされます。1926年当時の正確な比率は記録が乏しいものの、同じくカベルネ主体だったと考えられます。若い頃は、カシスやブラックチェリーの凝縮した果実に杉やシガーボックスの香りが重なり、緻密なタンニンが全体をしっかりと支えていたことでしょう。100年を経た今は、果実の香りが干しプラムやドライチェリーへと移っていると思われます。そこに、しおれたスミレ、なめし革、トリュフ、枯葉、紅茶、腐葉土、かすかな丁子といった熟成香が幾重にも重なることが期待されます。タンニンはすっかり溶け込み、絹のようになめらかな口当たりと考えられます。この年らしい酸が今も輪郭を保ち、静かで長い余韻へとつながることが期待されます。抜栓の数日前からボトルを立てて澱を沈めておき、16〜17℃前後で飲む直前に静かに澱を分けるのが目安です。デキャンタに移すとしても長くは置かず、グラスの中で開いていく香りの移ろいを見守るのがよいでしょう。
1926年という時代
1926年1月、スコットランドの発明家ジョン・ロジー・ベアードがロンドンでテレビの公開実験を行いました。4月には、のちの英国女王エリザベス2世が生まれています。日本ではこの年に社団法人日本放送協会が発足しました。12月25日には大正天皇が崩御し、元号が昭和に改まります。昭和元年はわずか1週間しかありませんでした。このボトルは、大正から昭和へ移るその年にポイヤックの畑で実った果実から生まれ、2026年に100年目を迎えます。ワインは過ぎた時間を語るものではありません。その時間を、香りとして今に伝えるものです。
状態の記録を全部見る(確認者・確認日つき)
| 銘柄/ヴィンテージ | シャトー・ラフィット・ロートシルト 1926(Château Lafite Rothschild) |
|---|---|
| 商品コード | 5000002 |
| 容量 | 750ML |
| 確認者/確認日 | 酒井/2026-10-03 |










