コート・ド・フラン(Cotes de Francs)とは
コート・ド・フランは、サンテミリオンから東に10kmほど離れたところに位置しています。 土質は、粘土、石灰岩質でメルローの栽培に適しています。畑の作付け面積が450ヘクタールしかなく、ボルドーのアペラシオンの中では最小です。しかしこの土地で造られるワインは豊かな香りが特徴のエレガントなタイプのワインを生み出すことでも知られています。そして、このコート・ド・フランの土地を一躍有名にしたのが、かのティアンポン家一族だったのです。
ティアンポン家
ティアンポン家はもともとベルギーでは由緒あるワイン商の出身でした。ワインの生産者としての足がかりを築いたのは、創業者ジョルジュ・ティアンポン氏が、サンテミリオンに移り住み、ポムロールの名門「ヴュー・シャトー・セルタン」を買収した1924年の頃でした。言うまでもなく、ヴュー・シャトー・セルタンは、その後ポムロールを代表するシャトーに発展し、創業者のワイン造りの技術や精神は、息子、孫の代まで脈々と受け継がれていきました。そしてワイン生産者としてのティアンポン家一族の名前をもっとも世間に知らしめたのが、ポムロールの最高ワインの1つ、ル・パンでしょう。
ティアンポン家とコート・ド・フラン
コート・ド・フランの土地の優れた特性に目をつけたのは、一族の創業者ジョルジュ・ティアンポン氏でした。彼は、1946年にシャトー・ピュイゲロー(Chateau Puygueraud)の畑を購入しましたが、当時、畑は彼の目にはただの廃墟と映ったようです。彼は20余年をかけて、高品質なぶどうが育つ環境になるまでひたすら畑を整えたのです。そしてこの畑から最初のヴィンテージが生まれたのは、畑を手に入れてから実に37年後の1983年でした。 苦労と並々ならぬ努力の末に生まれたシャトー・ピュイゲローは、見事な品質のワインとして高い評価を受けることに成功したのです。同時にコート・ド・フランを一流のワイン評論家も注目するアペラシオンに育て上げました。現在のシャトー・ピュイゲローの生産責任者は、今回ご紹介するシャトー・シャルム・ゴダールと同じくニコラ・ティアンポン氏です。
ニコラ・ティアンポン氏
ニコラ・ティアンポンが手掛けたその他のワインをご紹介すると、シャトー・ラルシ・デュカス(Ch Larcis Ducasse)、シャトー・パヴィ・マカン(Ch Pavie Macquin)、シャトー・ベルビュー(Ch Bellevue)、シャトー・ラ・プラード(Ch La Prade) と、いずれもサンテミリオンでは名ワインと評される銘柄の数々。
ちなみに、私は以前から、個人的にラルシ・デュカスがとてもお気に入りだったのですが、シャルム・ゴダールと同じ生産者だったと知ったのはつい最近でした。自分のワインの好みを別の角度から再発見したような新鮮な驚きを覚えました。 |